ぼくのスピリチュアル物語 36 「霊界探訪」


黒住さんの通信の中には、こちらの人間を叱咤激励する内容のほかにも、霊界の様子を伝えてくるものもある。

(「黒住さんからの霊界通信、21通目(1985.7.5)より」)
《光の輪がひろがるように、明け放った窓の研究室に今私はいます。私の意識が居るといったらよろしい。そして随時、私はどこにでも行くことが出来ます。霊界通信などのあの通り、瞬時に行き、瞬時に還る。そんなものです。あなたも皆さんもですよ》
(以上)


霊界では行きたい場所に瞬時に移動できるらしい。それにしても、霊界にも「研究室」があるとは思わなかった。へえ、へえ、へえとへえボタンを一万回押したいほどだ。
研究室があるなら、学校も、病院も、温泉も、遊園地も、飲み屋もあるのかなあ…。

そういえば、ルポライター平野勝巳さんの記事に、「霊界の黒住さんの研究室」に触れた箇所があったことを思い出した。それは、Yさんが黒住さんに招かれて霊界の研究室を探訪したという内容だった。

(「月刊公論」1991年12月号より)
『昭和六十年(1985年)三月のある日、ふとんで横になっていたYさんは、いつのまにか身体が浮き上がり、気がつくと空中に敷かれた道を歩いていた。やがて、研究室のような建物の前に出た。すると、建物のなかから白衣を着た「黒住さん」が出てきて、「ようこそ、ようこそ」といって手を広げてYさんを迎え入れてくれた。
その時の「黒住さん」の様子について、Yさんが「建物の入口から小走りに出てきて、少し身をひいてから急に照れ隠しのような、はずかしそうな笑みを浮かべられました。それから、手を部屋のほうへのべて“どうぞどうぞ”と案内してくださったんです」とあとで静さんに話したとき、静さんはまた驚いた。それは、黒住さんがいつも親しい人を迎えるときに見せたようすとまったく同じだったからだ。その時、Yさんと静さんはそれぞれに知っている黒住さんの表情やしぐさを話し合って、その一致点に驚き、笑い合ったという。
Yさんの<霊界探訪>は続く。「黒住さん」に案内されて入った研究室は、空中に浮かんでいて上と下に磁力線のような線が走っていた。
その研究室の椅子に腰をかけていると、「黒住さん」が「霊界がどんなところか見せてあげましょう」といった。見ると、目の前の壁が大きなスクリーンになっていた。「黒住さん」が「何を見せましょうか?」というので、「私は桃の花が好きなんです」と答えた途端、Yさんはそのスクリーンのなかに入って、美しく咲き匂う桃の花のなかを歩いていた。そばの「黒住さん」が「次は何を見せましょう?」というので、「若葉の季節がいいです」とYさんがいうと、一瞬にしてYさんは「みずみずしい若葉が艶やかに光り輝く新緑の草原」にいた。黒住さんは「霊界とはこんなところです。思うだけで、すべて目の前に現れるのですよ」といった。
こうしたYさんの証言にもまた、「それは夢に過ぎない」という反論が寄せられるだろう。しかし、かつてカントやゲーテに大きな思想的影響を与えた十八世紀の霊能者、スエーデンボルグの『霊界著述』という<霊界探訪>の記録には、霊界は<想念の交換>でできていて、思いはすべて実現する、ということが記されていることもまた事実なのだ』
(以上)

行きたい場所に瞬時に移動でき、思うだけですべて目の前に現れる「霊界」、三次元の世界に生きているぼくたちにはそう簡単には実感できない世界であるが、ますます興味は尽きない。

(つづく)



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