ぼくのスピリチュアル物語 01 「読書会」


毎月というわけではないが、第二火曜日の夜、ぼくは東横線の自由が丘駅に降り立つ。南口を出てお洒落なショップを眺めながら線路沿いの道を歩く。突き当たりを右折するとなだらかな上り坂である。坂道の途中で左折する。しばらく行くと、うっそうとした木立に囲まれた古い洋館が見えてくる。読書空間「みかも」である。行政の持ち物で、格安に集会の場所を提供する、いわゆる公民館みたいなものと言えばわかりやすいだろうか。

玄関扉を開けて入ると、どこかひんやりとした空気と湿った木の香りに包まれる。子供の頃、雨の日の木造校舎に登校したときの情景や感覚が蘇り、どこか懐かしい。

月に一度「みかも」で行われる読書会。メンバーは数人のときもあれば十人近いときもある。みんながみんな毎月来られるわけではないので、初の顔合わせもしばしば。自己紹介から始まり、その場の流れで雑談が始まる。

しかし、読書会とは名ばかりで、ただ集まっておしゃべりをするだけということが多い。同じ趣味を持つ人たちの同好会みたいなものである。ただ…

ただ、話している内容がちょっと特殊なのである。

ここに集う人たちの共通点は、スピリチュアルなことに関心があるということである。だから、肉体が滅びても魂は存続するとか、死後には死後の生活があるとか、すでに共通認識としてそれがあって、いろいろな意見交換をしている。

もしも、スピリチュアルなことに興味がない人がその場に居合わせたら「これって宗教の集まり?」と思うかも知れない。 仕方のないことだと思う。しかし、これは宗教ではない。「真理」などというとこれまた宗教っぽい気がする。

ぼくに言わせれば「死生観」である。だから、それぞれの「死生観」をもった人たちが集まって雑談をする会なのである。

では、なぜぼくがここに通うようになったか。それをこれから何回かにわけてここに連載していこうと思う。

題して、「ぼくのスピリチュアル物語」。その物語の始まりは、いまから約20年前にさかのぼる。

(つづく)



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霊的故郷