ぼくのスピリチュアル物語 04 「霊訓」


少女を勇気づけようと静さんが書いた『ある少女への手紙』は新聞社に送られたが、それが少女のもとに届いたかどうかは静さんには知らされなかった。しかし、その手紙を読んだ静さんの友人たちが、きっと同じようなことで悩んでいる人は少なくないはず、きっと多くの人に役立つから本にして残そうと勧められ、自費出版の小冊子が誕生したらしい。

16歳の少女に「死」というものをわかりやすく解説した文章は、ぼくにとってもとてもわかりやすいものだった。そして、小学生の頃からずっと抱えていた「死んだらどうなるのか?」という解決されない心の中のモヤモヤを晴らしてくれた。そしてぼくは、静さんの考え方の根底に、『シルバーバーチの霊訓』が大きく横たわっていることを知った。

『シルバーバーチの霊訓』は、1920年代から約60年間に渡り、週一回の交霊会で霊媒バーバネルさんの肉体を借りて語り続けた膨大な量の霊言集である。その中から静さんは、51箇所の『発言』を抜粋して紹介した。そのひとつひとつをぼくは噛み締めるように読んだ。食べた物が胃の壁面から栄養として吸収されるように、言葉が身体の中に素直に染み入っていく感覚を今でも覚えている。

それは…
おそらく、『シルバーバーチの霊訓』に出会う前に、静さんの「死」についてのわかりやすい文章を読んだからこそではないかと思う。

小冊子をすべて読み終えたあとの「そういうことだったのか」という感動の中で、最後のページを繰った。するとそこには、発行人黒住静の名前とともに住所と電話番号が記されていた。ぼくは友人宅の電話を借りて(当時は携帯電話がなかった)、その番号をまわしたのである。

「はい、黒住でございます」と落ち着いた声がぼくの耳に響いた。『百番目のサル』で小冊子を買って読み、たいへん感動したので、お目にかかって直接お話が聞きたいと申し出た。静さんはこころよく受けてくれた。

その日の午後、ぼくたち一家は友人の運転する車で『ある少女への手紙』の著者、黒住静さんのご自宅に向かった。

(つづく)



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